犬の前十字靭帯断裂(CrCL/CCL断裂)2026年 consensus TPLOについて
犬の前十字靭帯断裂(CrCL/CCL断裂)については、米国の外科専門医団体(ACVS)などから治療指針(コンセンサス)が示されています。
2026年時点での最新の知見と治療の標準的な考え方は以下の通りとなります。
多分日本の獣医さんにも参考になるかと思います。
1. 治療法の選択基準
外科手術の推奨: 保存療法(非手術)よりも外科手術の方が、短期的・長期的な跛行(足を引きずる症状)の改善に高い臨床的効果があることが示されています。
中・大型犬: 体重が重い犬(特に20kg以上)では、保存療法で正常な機能を回復する割合が低いため、外科手術が強く推奨されます。
小型犬: 以前は保存療法も選択肢でしたが、最近では小型犬でも手術による早期の安定化が望ましいとされています。ただし、骨の形状や体格に合わせた術式の慎重な選択が必要です。
2. 主要な手術法(コンセンサス)
現在、世界的に以下の2つのアプローチが主流です。

TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)
脛骨の形を外科的に変えることで、靭帯がなくても膝が安定するようにする術式です。
特に大型犬や活動的な犬において、長期的な予後が良好であるとのコンセンサスが得られています。
獣医医療の歴史において整形外科医のエゴにより色々な術式が考案されておりますが、現在最も医学的根拠のある治療法がTPLOであると考えられております。
TPLOに似た術式でCBLOという手術法も考案されました。しかしCBLOについてはインプラントが多い傾向にあり、完全に脛骨を横断する為合併症のリスクが高まることが考えられております。
TPLOは完璧な手術ではありませんが飼い主さんの満足度として95%程度の回復が得られたという報告もあります。
関節外法(ラテラルスーチャー法):(当院では推奨しておりませんが参考までに・・)
強度の高い糸を使用して膝を外側から固定する方法です。
小型犬や、TPLOが適応外となるケースで一般的に選択されます。 (根拠不明)
組織の損傷が少ないと一見考えてしまう手術方法ですが、TPLOの方が軟部組織の損傷は少ないと言われております。
3. 予後と合併症の管理
変形性関節症(関節炎): どの治療法を選択しても関節炎の進行を完全に止めることは困難ですが、手術を行うことで進行を遅らせることができます。
対側(反対の足)の発症: 片側の前十字靭帯を断裂した犬の約40〜50%が、1〜1.5年以内にもう片方の足も断裂するという高いリスクが報告されています。こちらはリスクというよりも左右対称に体はできておりますので、変性(いわゆる経年劣化)にて対側も限界がきて断裂してしまうといった所でしょうか。
3%はTPLO施術後に半月板損傷の発生が生じてしまう場合があります。
その場合には、術後に再手術を実施し半月板の処理を行います。
2026/01/01