ふく動物病院

診療科目

多発性筋炎 Polymyositis

犬の特発性多発性筋炎は、犬で多くみられる病気です。ボクサー、ラブラドル・レトリーバー、ニューファンドランド犬での発症が多くみられます。国内のウェルシュ・コーギーペンプロークの若い成大において、舌の筋萎縮を主体とした筋疾患が多く報告されるようになってきています。

猫でも犬の特発性多発性筋炎と類似した症状がみられる場合がありますが、猫の場合には内臓系の疾患が関与していることが多いといわれています。

<原因>
骨格筋という種類の筋肉が炎症を起こす疾患で、自己免疫性疾患と推定されているがその原因は不明です。胸腺腫やリンパ腫などの腫瘍性疾患や全身性エリテマトーデスに、薬物でも誘発されることがあります。

<症状>
強直性歩行、全身性の筋萎縮、発熱、筋肉の疼痛、移り変わる跛行などであり、基本的には進行していくことが多いです。進行してくると発声障害、嚥下困難、流涎、巨大食道などもみられるようになります。
最も一般的な症状は軽度〜重度の虚弱であり、運動するときに症状が顕著になります。
主に四肢の筋肉で症状がみられ、体に近い大きな筋肉で痛みを生じやすいといわれています。
猫では、頭部下垂、虚弱、ジャンプできないなどの症状が急性に発症する。

<診断>
臨床症状、CK活性の測定、MRI検査、筋電図検査、ならびに筋生検によって診断されます。
CKとASTの上昇がほとんどの症例で休息時にみられ、運動後に劇的に上昇することが多い傾向にあります。


一般的な血液生化学検査に加え、抗核抗体の測定、感染症に対する血清学的検査、髄液検査、抗アセチルコリン受容体抗体の測定、胸腹部X線検査、腹部超音波検査、神経学的検査などで除外、診断します。

<治療および予後> ステロイドによる免疫抑制治療が主体となります。 基礎疾患となる疾患や誤嚥性肺炎に罹患していなければ、比較的予後は良好です。