ふく動物病院

診療科目

咀嚼筋炎 Masticatory myositis

<原因>
咀嚼筋炎は犬の咀嚼筋(顎二腹筋、側頭筋、咬筋)の筋線維を標的とする自己免疫疾患です。別名好酸球性筋炎といいます。
咀嚼筋は特殊な筋線維から構成されており、その特殊な筋線維に対して自己抗体が形成されると発症します。若い成犬の大型犬種やジャーマン・シェパードでの発症が多くみられます。咀嚼筋炎と免疫介在性多発性筋炎が併発することが多くみられます。

<症状>
急性期には側頭筋と咬筋を触ると痛がる様子や、口を開けることを嫌がるようになります。
また、発熱や首のリンパ節が腫れる、眼球が前に出てくることもあります。
慢性化すると咀嚼筋の萎縮が進行し、骨ばった顔付きになり開口範囲が狭くなります。

<診断>
臨床症状、一般血液検査、CK活性の測定、筋電図検査、ならびに筋生検によって診断します。慢性期で痛みを伴わない咀嚼筋の萎縮が認められた場合は、三叉神経症や広汎性の多発性筋炎との鑑別が必要になります。
血液検査ではCKやASTの上昇、軽度の貧血や好中球増多、ときに好酸球の増多が認められることがあります。

<治療および予後>
治療は免疫介在性多発性筋炎と同様、免疫抑制治療になります。
筋萎縮が持続しても機能の回復は期待できることが多く、早期診断、早期治療が予後を決めます。比較的予後は良好です。