猫の横隔膜ヘルニア
当院では地域のボランティアさんの紹介症例が多いことから横隔膜ヘルニアの症例を多く経験してきました。自験例では合併症もなく術後経過は順調です。
「症例1」
外傷性と思われる、横隔膜ヘルニアの猫がボランティアさんに連れられて来院しました。
「地域猫の横隔膜ヘルニアの症例」
先天性なのか外傷性(事故)なのかは厳密には不明です。
「術前X線」
胸部の心陰影が消失しており、消化管内のガスが認められます。
横隔膜ヘルニアと診断し、当院で横隔膜ヘルニアの手術を実施しました。
「開腹手術後X線」
心陰影が認められるようになりました、数日間は再拡張性の肺水腫、気胸などの術後合併症を防ぐ為に胸腔ドレーンを設置します。
「症例2」
本症例も外傷性と思われる、横隔膜ヘルニアの猫がボランティアさんに連れられて来院しました。
やはり地域猫の場合、事故により横隔膜ヘルニアの罹患が多いと考えられます。
地域猫の去勢手術や避妊手術を行う際には呼吸数などの観察が必須であり、場合によりX線検査も必要かもしれません。
(どこまで検査を行うべきかは地域猫の医療に関しては議論があります)
「術前X線」
「術後X線」
「症例3(650gの仔猫)」
本症例は当院で施術例で最も若齢の症例です。若齢ですので、先天性・外傷性どちらの可能性もありますが、横隔膜ヘルニア以外の外傷は認められませんでした。
「術前X線」
「術後X線」
「術後:元気になりました!」
今回紹介させていただいた3症例は術後の経過も良好で元気に退院することができました。
2023/06/01