猫の尿管閉塞に対する治療について
Q.猫の尿管閉塞に対する治療について、現状どの治療法を選択すべきでしょうか?
A.答えは世界でも議論があるところです・・。
論文ベースと私見を以下に記載しております。
2018年の論文上では以下のように記載されております。
Recommendation 2.8: Obstructive ureteroliths in cats should be managed by subcutaneous ureteral bypass or ureteral stenting Recommendation
「猫の閉塞性尿管結石は皮下尿管バイパスまたは尿管ステント留置術によって管理されるべきです。 」
よって現状では猫の尿管閉塞に対する治療はSUBもしくはステントということになります。
「周術期死亡率」
尿管の手術:18-22%(近年では8%との報告も)と報告されております。
尿管ステント:7.5-11%
SUBシステム:6.3%
こちらは純粋に手術手技の煩雑さ、麻酔時間、手術難易度が大きく影響しております。SUBシステムは比較的短時間で施術が完了することが周術期死亡のリスクを軽減していると考えられます。
「術後合併症」
尿管の手術:31%(尿腹、術後狭窄など)
尿管ステント:尿腹8.7-19%感染26%など
SUBシステム:SUBの漏れ3.4%カテーテルの石灰化25%など
周術期死亡率や術後の合併症率が尿管膀胱吻合術などの手術手技の欠点と言えるでしょう。
猫の尿管は非常に細く、術者の技術により結果は大きく左右されることでしょう。
SUBシステム施術の最大のメリットとして打率(成功率)が良いことと考えます。
SUBシステムの合併症として代表的なものはデバイスの石灰化、尿路感染症と考えられます。
「石灰化したSUBシステムのカテーテル」
SUBシシテム設置後2年半でSUBシステムの石灰化に伴いSUBシステムの交換を実施した症例
本症例は2年前に両側の尿管閉塞と診断され、両側腎臓にSUBシステムを設置した。2年半後の定期検診にて両側の石灰化に伴う尿流の閉塞を確認したので、SUBシステムの交換、入れ替えを行った。仮にSUBシステムが閉塞してもSUBシステムの交換も当院では行っております。
早期に閉塞を診断、外科介入できれば腎数値も維持されるようです。
ACVIM Small Animal Consensus Recomendations on the Treatment and Prevention of Uroliths in Dog and Cats(2016)
Gallaghe A,VCNA 2018
2023/9/15