ふく動物病院

診療科目

猫の乳癌について

猫の乳腺癌は完全切除された後でも再発や転移を起こし得る腫瘍です。
悪性腫瘍全般に当てはまることですが、予後因子としては腫瘍の脈管内浸潤、リンパ管浸潤、臨床ステージ、手術範囲(マージンの評価)、病理組織学グレードが挙げられます。

猫の乳腺癌の組織学グレードは3段階に分類され、
グレード1は低悪性度
グレード2は中間悪性度
グレード3は高悪性度
と評価されます。


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「自潰している猫の乳がん3cm以上の腫瘍(T3)には非常に注意が必要です」

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「かなり大きくなってしまった猫の乳癌のX線画像」

猫の乳腺癌は、一般に浸潤性を示し、しばしば所属リンパ節と遠隔部位に転移する侵襲性の悪性腫瘍です。この種の腫瘍は切除が不完全なときには、頻繁に再発します。犬の乳腺癌とは異なり、猫の乳腺癌は通常エストロジェン受容体を欠いています。

転移は少なくとも25%の症例で発生し、通常は初めに腋窩または鼠径リンパ節に転移し、病期の後期に肺と胸膜を含む遠隔部を病変に巻き込みます。最近の研究では、腫瘍の大きさを重要な予後因子としています。この研究では、直径3cm未満の乳腺癌を有する猫の生存期間中央値は21ヶ月でしたが、直径3cm以上の腫瘍を有する猫の生存期間中央値は12ヵ月であったと報告されております。


Prognostic Value of Histologic Grading for Feline Mammary Carcinoma: A Retrospective Survival Analysis.(VetPathol. 2015. 238-249)

2022/06/01