犬の膵炎
「犬の膵炎の診断方法 」
膵炎は犬によくみられる疾患ですが、非特異的な臨床徴候を示すことが多く、現在行われている検査法にも能力上の限界があることから、しばしば診断が困難とされています。
「膵炎の定義」
膵炎は膵臓の炎症性疾患で、重度の症例ではしばしば膵臓壊死および複数の全身合併症が伴います。
治療反応によっては予後不良となる場合があります。
「発生率/罹患率」
犬における膵炎の正確な罹患率の報告はありません。剖検所見の研究では、検査した犬の 1%に膵炎の所見がみられた報告されております。しかし、最近得られた 200 頭の犬の剖検に関する報告では、犬における膵炎は人と同様に全症例の 90%以上が診断されないままであることが判明しました。
「徴候」
膵炎の臨床徴候は犬では非特異的であり、最もよく報告されている徴候は嘔吐、腹痛、食欲不振、衰弱、脱水です。
人の膵炎では腹痛が重要な臨床徴候であり、犬に腹痛がある場合も膵炎を疑うべきです。
一部の患者では、 治療開始後に初めて腹痛が明らかになる場合があります。
しかし、動物の痛みの発生部位を特定すること自体が困難な場合もあり(自分で痛みの部位を訴えることができませんので・・)特徴的な姿勢を示さない場合には暫定診断となる場合もあると考えます。
「CBC」
膵炎に罹患した犬のCBC結果では
血小板減少
左方移動を伴う好中球増加
貧血
が最もよく報告される所見です。
「血液化学検査」
肝酵素活性の増加
高窒素血症
高ビリルビン血症
低アルブミン血症
高血糖
低カルシウム血症
V-LIP(膵炎)の上昇
CRP(炎症マーカー)の上昇
が認められることがあります。
「動物用医薬品ブレンダZ」
一般的に小動物領域ではV-LIPの上昇とCRPの上昇、消化器症状が認められると「膵炎」と診断されることが多く、臨床症状の改善のために静脈点滴や抗生剤、制吐剤などの対症療法が行われます。
近年では上述の対症療法に加えて、ブレンダZという動物用医薬品により治療を行うこと(5日間)で早期に臨床症状の改善を得られるようになりました。
2019/08/1