診療科目

犬・猫

  • 猫の尿管閉塞に対する治療について(SUBシステム)

    猫の尿管閉塞は、泌尿器疾患の中でも緊急性が高く、治療介入が非常に困難とされております。


    閉塞の原因が結石である場合の検査による検出感度は
    X線とエコー検査で90%と報告されております。

    尿管閉塞 腎盂拡張 猫.jpg
    「猫の尿管閉塞の腎臓超音波検査の画像」


    その一方で10%で、尿管閉塞の原因で明らかな原因がみつからない場合があると報告されております。
    猫では25%以上が狭窄であるという報告もあります。
    また尿管結石の猫の85%以上で腎結石も併発しており、最近の研究では1尿管当りの結石数の中央値が4個であったとの報告もあります。
    現状の獣医療では猫の尿管閉塞の治療法は「なかなか難しい」と考えていかなければなりません。


    尿管結石、尿管閉塞に対する治療法として当院では


    1.SUBシステムの設置
    2.尿管切開(尿管膀胱新吻合術など)

    により対応しております。


    「症例1:日本猫急性腎不全(右側尿管閉塞)」
    右側の腎盂の拡張が認められ、腎数値の急激な上昇が認められました。
    SUBシステム術中造影.png
    SUBシステム設置後、造影剤にて術中の動作確認を行っております。
    赤丸(腎盂)ー黄丸(膀胱)が造影により染まっております。


    「症例2:日本猫急性腎不全(左側尿管閉塞)」
    以前左側の尿路に尿管ステントを入れた症例です。
    猫SUBシステム.png
    手術後にSUBシステムのポートより造影剤を注入し、疎通を確認します


    「症例3:日本猫急性腎不全(両側水腎臓、尿管結石)」
    左右の腎臓の腎盂の拡張(水腎)両側の尿管結石に対して両側のSUBシステムを挿入した症例
    両側SUB.png


    SUBシステムは比較的新しい尿管閉塞に対する治療法ですが、腎臓と膀胱をバイパスでつなぐ「救済的な」治療法となります。
    尿管ステントよりも技術的には難易度は高くないと考えられ、緊急性のある病態(尿毒症)を脱する治療法としては効果的と考えられます。


    デメリットとしては
    1.インプラント(ポート)の術後管理が必要である点
    2.術後の排尿時の違和感
    3.尿路感染症


    などが挙げられ、継続的な管理は必要であると考えます。
    当院で施術した症例の術後の実感として、「命に関わる緊急性の高い手術の術後経過」という観点からすると、概ね良好と判断しております。


    「両側SUBシステム設置後の血液検査推移」(症例3)
    術後5ヶ月でBUN、CREは正常値まで回復した、尿路感染は認められていない。
    (↓クリックすると画像が大きくなります)
    両側SUBシステム設置後の血液検査推移.png
    BUN:92.8→32.8(術後5ヶ月)
    CRE:4.41→1.62(術後5ヶ月)


    尿管閉塞は緊急性の高い疾患のため、SUBシステムを準備しておく必要性はあると考えております。


    「症例4:マンチカン急性腎不全の症例」
    (多発生嚢胞腎、両側性尿管閉塞、尿腹)


    本症例は多発生嚢胞腎という先天性疾患の症例に両側性の尿管閉塞が併発した症例です。
    腎盂にSUBシステムを入れることが技術的に難しい症例でした。
    猫多発性嚢胞腎 エコー.png
    「多発性嚢胞腎の猫の術前超音波画像」腎盂の拡張はありますが、嚢胞の影響でSUBシステム挿入難易度は高い


    猫多発性嚢胞腎SUB.jpg
    「両側SUBシステム設置後X線(尿路造影)」
    術後の経過は良好です。1週間程の入院後、退院しました。




    2020/08/15

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