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腫瘍科
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脾臓腫瘍(Spleen tumor)
腹部の超音波検査で脾臓の腫瘍が診断される場合があります。
1.中高齢犬で偶発的にみつかる場合
2.急激な活動性の低下で受診される場合
脾臓腫瘍の中で最も挙動に注意が必要な疾患は「血管肉腫です」
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リンパ腫の抗癌剤プロトコールについて
●ハイグレードリンパ腫に対する治療(CHOP療法)犬・猫
リンパ腫の中で比較的多い多中心型リンパ腫では一般的に通称UW25という抗がん剤によるプロトコール(治療計画)により治療を行います。
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犬の消化器型リンパ腫について
2020年12月現在で海外の論文ベースの報告をまとめてみました。
Vail とYoung により、2007年に「犬で一般的な造血器悪性腫瘍である。」評されて10年以上が経過しました。診療技術の向上に伴い日本国内でも主要な動物診療施設では比較的多く診断されるようになりました。
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免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
免疫介在性溶血性貧血は命に関わることも多い血液疾患です。人医療ではAIHAと呼ばれております。
赤血球を自己ではない「異物」として認識してしまうことによって、免疫暴走によりそれを破壊し(昨今の新型コロナウイルスのように)その結果貧血に至る疾患です。
他の病気(特に腫瘍など)から続いて発生する事も度々認められます。
ただ貧血になるだけではなく、非常に危険な併発症を発症しやすく、積極的な医療介入が必要となる疾患です。
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犬の膀胱腫瘍(移行上皮癌)
犬の膀胱移行上皮癌は外科切除で完全切除(マージンクリーン)と診断されても、最終的な転移率が約50%と言われ、非常に注意が必要な腫瘍です。
(症例1)膀胱移行上皮癌の犬
診断は主に細胞診、エコー画像で診断されます。
「膀胱粘膜面の不整」
「膀胱移行上皮癌の細胞診所見(尿道カテーテルより採尿)」 -
犬の中等度型リンパ腫について
犬のリンパ腫の分類の1つとして、細胞診と免疫表現型で分類する新Kiel分類が知られております。
この分類では、
1.高悪性度リンパ腫(High grade LSA)
2.低悪性度リンパ腫(Low grade LSA)それぞれ
B細胞
T 細胞
に分類されてきました。近年では中等度型リンパ腫と分類される「低悪性度な挙動をとる可能性がありますが、高悪性度の挙動を呈する」症例も目にするようになりました。 -
腫瘍診療について「当院の方針」
我々は国内外のジャーナルや学会、大学診療を通じて学術的な根拠を下に診療、治療を行っています。
飼い主様に必要な情報を提供し治療を行っております。
「当院の方針として」
腫瘍の治療には効果が証明されていない「民間療法」や一部の医療関係者のみが推奨する「免疫療法」なども存在します。当院では飼い主さんの「不安な気持ち」「何とかしてあげたい」という思いに対して、効果の疑問視された治療に誘導するようなインフォームドコンセント(説明と同意)を行なっておりません。
その理由として、
1.その治療法の価格の大小に関わらず、費用対効果が悪いこと。(効果が証明されていないものに費用を費やすこと)
2.動物は原則プラセボ効果が証明できないこと(人の場合にはプラセボ効果が少なかなずあると思われるから)
が挙げられます。
一定の治療効果とは「複数の獣医師のコンセンサスが得られている治療法」を当院では基準として治療を行なっております。国内外の論文ベースや人の医療での治療法などを基準として院内の複数の獣医師で検討を行い治療を決定しております。
腫瘍担当
院長 出浦知也
主な腫瘍診療実績
麻布大学附属動物病院 腫瘍科 2010年〜2014年
日本獣医がん学会 代議員(社員)
日本獣医がん学会 Ⅱ種認定医
学会発表(筆頭のみ)
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猫の骨髄腫(形質細胞腫瘍)関連腫瘍(FMRD)
猫の骨髄腫(形質細胞腫瘍)関連腫瘍(FMRD)は動物のWHO分類には記載のない疾患名
Dr.Mellorにより2008年頃から提唱されております。
犬の形質細胞腫瘍とは臨床的な挙動が異なり、近年注目されております。
※本稿の内容は獣医師向けかもしれません。飼い主様は主治医の先生とご相談の上治療の参考にしてください。
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犬の肥満細胞腫(Mast cell tumor)
犬の肥満細胞腫(MCT)は犬に認められる一般的な腫瘍です。その治療を成功させる為には外科療法、放射線治療、化学療法(ステロイド療法を含む)などを単独、併用していくことが重要です。
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犬・猫のハイグレードリンパ腫の長期生存例(3年以上)
犬・猫のリンパ腫で治療開始3年以上が経過した症例をご紹介します。
他のリンパ腫の動物の希望の星になるように、長生きして欲しいものです。
猫のB-cell high grade リンパ腫 治療開始4年目の症例
「症例プロフィール」
日本猫 避妊雌 14歳(診断時)
右下顎リンパ節の腫大(LSA stage1a)
病理組織学検査、免疫染色結果
独立円形細胞腫瘍(大細胞型リンパ腫)
CD3(Tリンパ球マーカー):陰性
CD79(Bリンパ球マーカー):陽性
多剤併用プロトコールで治療(治療開始4年時点で完全寛解)
猫のリンパ腫に関しては3-5年生存が27%という報告(range,50日〜2520日,D.simon2008年)もありますから、本症例もまだまだ期待がもてるかもしれません。 -
クライオサージュリー(cryosurgery)
老齢犬でよく認められる表皮のイボ(乳頭腫)に対して無麻酔で治療を行うことができます。
クライオサージュリーは液体窒素を噴霧し、組織を凍結壊死させる治療法で人医領域でも皮膚科診療などで一般的に行われております。 -
「がん」の治療を検討されている方へ
仮に「リンパ腫」として診断された症例がなぜ、抗がん剤が必要なのか?
なぜ?「乳腺腫瘍(乳腺癌)」と診断された症例が外科手術が第一選択なのか?をまとめております。 -
犬のMott cell lymphoma(MCL)
犬で形質細胞の増殖がみられる疾患であり、形質細胞のリンパ系腫瘍および免疫介在性疾患に伴って認められることが多いと報告されています。
非常に珍しい疾患とされており、その臨床所見や臨床病理学的所見、および治療経過については未だ解明されていない点が多い疾患です。 -
犬・猫のリンパ腫に関するよくある質問
日々リンパ腫の診療、治療を行う際に、飼い主様からよく相談される質問をまとめてみました。
基本的にはエビデンスベース(学術的根拠により)で記載しております。
一部、飼い主様に理解し易いように私的な表現も含まれるかもしれません。
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猫の胃のリンパ腫(B-cell low grade LSA)
猫の胃のリンパ腫(B-cell low grade LSA)の症例です.
6歳の避妊済みの雑種猫が嘔吐を主訴に当院を受診しました。
他施設での診察で「原因不明の嘔吐」と診断されていました。
当院で各種検査を実施した後、内視鏡検査を実施しました。内視鏡下で実施した病理組織検査で低悪性度リンパ腫
同時に行われたクローナリティー解析でBリンパ球のモノクローナルな増殖(腫瘍性増殖)が認められました。 -
腫瘍に対する治療ポリシー
飼い主様の動物に対する愛情は深く獣医療に対する期待も強く感じております。
しかし、現在の獣医療で解明されていない病気や大きな手術をしても余命がいくばくかの症例も多々存在する事実があります。
そんな中で飼い主様が知りたい情報として
「病名が何なのか」
「どのような治療があるのか」
「費用はどの位かかるのか」
「どのような経過を経るのか」
「治る病気なのか」
などが挙げられます。ふく動物病院では飼い主様と協力して治療を行えるように、外科治療、内科治療、大学病院の情報を提示し、治療計画を組み立てていきます。