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犬・猫

  • 猫の骨髄腫(形質細胞腫瘍)関連腫瘍(FMRD)

    猫の骨髄腫(形質細胞腫瘍)関連腫瘍(FMRD)は動物のWHO分類には記載のない疾患名
    Dr.Mellorにより2008年頃から提唱されております。
    犬の形質細胞腫瘍とは臨床的な挙動が異なり、近年注目されております。


    ※本稿の内容は獣医師向けかもしれません。飼い主様は主治医の先生とご相談の上治療の参考にしてください。


    FMRDを細分類しますと、以下に示すように分類されております。

    1:骨髄腫:myeloma (intramedullary or combined intra- and extramedullary involvement)
    2:皮膚の髄外性形質細胞腫:cutaneous extramedullary plasmacytoma
    3:皮膚以外の髄外性形質細胞腫:noncutaneous extramedullary plasmacytoma
    4:骨の孤立性形質細胞腫:solitary plasmacytoma of bone
    5:IgMマクログロブリン血症: IgM macroglobulinemia
    6:免疫グロブリン産生性リンパ腫:immunoglobulin secreting lymphoma
    7:形質細胞性白血病:myeloma cell leukemia


    当院で診断されたFMRDの症例を通じて、一定の知見が得られましたので、
    2017年冬の日本獣医がん学会で症例発表を行なってまいりました。
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    ※形質細胞もB細胞性由来ですから、クローナリティー検査などを実施した際にB-Cell High grade LSAと診断されてしまうことはあるようです。以前診断された猫のB-Cell High Grade LSAの中にも一定数FMRDが含まれていたと考えられます。

    よって、猫のFMRDを確定診断する場合には病理組織検査による特殊染色が必要になる場合があります
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    形質細胞由来の細胞ではMUM1(マムワン)染色に陽性反応を示すため、診断の一助となるようです。
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    当院で化学療法を実施しました。一定の治療反応が得られました。


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    mellorの報告では形質細胞の分化度と生存日数には関連性があると報告しております、当院の症例も分化度は低いと判断されました。
    幸いにも当院の症例は、集学的な治療(主にUWベースの化学療法)により、923病日と比較的長期間生存することができました。海外論文ではアルケランやレスキューでクロラムブシルの使用もあるようです。
    私見ですが、FMRDの発生部位によっても予後が変わる可能性があるとも考えております。再分類もあることですし。


    FMRDは国内報告の少ない疾患で、診断や治療も試行錯誤の段階と考えられます。
    本症例の治療経験を生かしてFMRDに対する治療を行なって行きたいと思います。


    2020/01/01

    (他施設より相談が数件ありましたので、私見を含めてup date しました。海外論文なども含め参考にしていただければ幸いです)

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